The Tank & Seven SistersとCedar Pride Wreck

アカバの海に眠る「静かなる守護者」:The Tank & Seven SistersとCedar Pride Wreck

ヨルダンアカバのダイビングスポットのCedar Pride Wreckの内部
ヨルダンのアカバ(紅海)が世界中のダイバーを惹きつけてやまない理由は、単なる美しさだけではない。そこには、国王自らが主導した海洋保護への情熱と、軍事遺産を生命のゆりかごへと変えた独自の歴史が息づいている。

1. The Tank & Seven Sisters(戦車とセブン・シスターズ)

ヨルダンアカバのダイビングスポットのthe tank

ヨルダンアカバのダイビングスポットのseven sisters

歴史と背景

このスポットの象徴である「戦車」は、正確にはアメリカ製の対空自走砲「M42ダスター」。1960年代からヨルダン軍で実際に運用され、中東の歴史的な戦いにも参加した実機である。
1999年、ヨルダン王立海洋保護協会(JREDS)が天然のサンゴ礁への観光負荷を分散し、新たな人工礁を作るという環境保護目的でビーチからわずか20mの地点に沈設しました。現在は周辺の「セブン・シスターズ」と呼ばれる7つのサンゴの根(ピナクル)と共に、アカバで最も有名なエコ・ダイビングスポットとなっています。

構造と深度

  • 最大深度: 約12m(戦車自体は水深5〜6mに位置)
  • 難易度: 初級。スノーケリングや体験ダイビングでも十分に楽しめる。
  • 透明度: 20m〜30m。浅瀬のため太陽光がダイレクトに降り注ぐ。

見どころ

  • 「戦車×サンゴ」のコントラスト: かつて戦場を駆けた鉄の塊が色鮮やかなソフトコーラルに覆われ、キンギョハナダイの群れに囲まれている光景は圧巻。
  • 「フェアリー・リング」への冒険: セブン・シスターズのピナクルを抜けると、円状のサンゴ礁が現れる。小さな無脊椎動物やウツボの隠れ家になっており、マクロ撮影の聖地でもある。
  • フォトジェニックな浅瀬: 水深が浅いため色が抜けにくく、特別な機材がなくても驚くほど鮮明な水中写真が撮れる。

2. Cedar Pride Wreck(シーダー・プライド号)

ヨルダンアカバのダイビングスポットのCedar Pride Wreck

歴史と背景

1982年、アカバ港に停泊中だったレバノン国籍の貨物船「シーダー・プライド号」で火災が発生。激しく損傷し放置されていたこの船に目をつけたのが、自身も熱心なダイバーである国王アブドゥッラー2世(当時は王子)。
「この巨大な船を、ダイバーのための楽園に変えよう」という国王の提案により、環境処理を経て1985年に沈設。今では世界中のダイビング雑誌で「紅海で最も美しい沈船」のひとつとして不動の地位を築いている。

構造と深度

  • 全長: 約74m。スペインで建造された重厚な貨物船。
  • 最大深度: 約25m〜27m(船の最上部は水深7m付近)。
  • 難易度: 初級〜中級。外観を見るだけなら初心者でも可能だが、内部探索にはアドバンス資格が推奨。
  • 透明度: 15m〜30m。巨大な船体の全体像を捉えられるほどの視界が期待できる。

見どころ

  • 「海底の巨大ブリッジ」: この船は2つのサンゴ礁の間にまたがるように沈んでいる。そのため、船底の下を潜り抜ける「スイムスルー」が可能。底から見上げる船体と差し込む光は幻想的である。
  • 船内の「エアポケット」: 船の内部には、ダイバーがレギュレーターを外して会話できるほどの空気の溜まり場(エアバブル)が存在する。
  • 生命の爆発: 35年以上の歳月を経て、マストやクレーン部分は巨大な海トサカの森と化している。ナイトダイビングでは、活発に動くタコやスパニッシュダンサーに出会える確率が非常に高い。
透明度の高いヨルダンアカバの海中とダイバー

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