ドンキー使いのツケ払い前編(小話)
ドンキー使いのツケ払い前編 (小話)では個人的な感想や同じ場所に行っても経験することのないくだらない話を書いていこうと思う。旅行の雰囲気を感じ、もし同じことが起きたら対処できるように一読いただければと思う。初回は現金にまつわる錬成術。現金しか使えないのに手元にない、そんな時に役に立つ章である。 1.アイツとの出会い アイツとは写真にも写るドンキー(ロバ)使いなのだが、彼は錬金術師だ。この章でキーパーソンとなる人物をなぜアイツと呼んでいるのか、出逢いから説明したい。アイツはペトラ遺跡にて厳しい階段の上り下りを相棒のロバを貸し出すことで助けるベドウィン(砂漠の民)だ。もちろん商売であり、お金はかかる。 ペトラ遺跡の中間地点で私達は立ちすくんでいた。旅の相方が風邪をこじらせ最終地点まで行けないかもしれない、そんな時にアイツは現れた。 現金が17JD(約3740円)しかない我々に、アイツは40JD(約8800円)で往復すると言った。現金がないことを伝え17JDまで下げるも、頂上でミントティーを楽しみたい私は交渉に割って入った。そこでアイツが提案したのは15JDは現金で、5JDは頂上の決済端末で払ってくれ。 とてもいい提案だ。なぜ出発地点ではなく折り返し地点に端末があるのか少し気になったが、そういうこともあるのかと合意した。先に書いてしまうが、詐欺などではない。 それなのに私が錬金術師をアイツと呼ぶには2つの理由がある。 1つ目はドンキーを蹴るからだ。アイツの相棒はとても小さく素人から見てもよぼよぼしている。傾斜が急なのもあるが、足を滑らせながら慎重に階段を登っていく。そんな時に彼はドンキーのケツを蹴るのだ。子供が見ていようと、前に人がいようと、苦しそうな様子を見せるドンキーを蹴りまくる。乗っている友人は気にならなかったというが、見ているこちらは気が気ではない。小学生ほどの小ベドウィン達がドンキーを蹴る場面を見たが、8割アイツの影響であると思っている。 2つ目はアイツがとんでもない女たらしであるからだ。すれ違う西洋人の女性には「俺のドンキーの名前はウィリアム・シェイクスピアさ」とユーモアをひけらかし、道中の売店に新しく入った従業員の女性には連絡先を渡して手の甲にキスをしている。そしてアイツはイケメンだ。大学時代にとても親しい友人から「お前の顔は中の下」と言われた私からすると入...