New CanyonとBlue Coral
アカバの隠れたマクロを潜る:New Canyon & Blue Coral 完全ガイド
アカバの海は沈没船や戦車などの「水中軍事博物館」が有名だが、ベテランダイバーが真に魅了されるのはその地形の複雑さと希少なサンゴの生態系である。今回はアカバ南部の海洋公園内に位置する2つの傑出したポイントに焦点を当てる。
1. New Canyon(ニュー・キャニオン):深淵へと続く砂の回廊
「オリバーズ・キャニオン(Oliver's Canyon)」という別名でも知られるこのスポットは、自然が作り上げた壮大な「海底の谷」である。かつてこのエリアはアカバ湾の地質活動によって形成された複雑な断層の一部であり、潮の流れが栄養分を運び込む天然の通り道となってきた。歴史的には隣接する有名な「The Tank(戦車)」から足を延ばすルートとして開拓されたが、現在はその独特の地形美から独立したメインスポットとして確立されている。
構造と深度
- 最大深度: 12mから始まり、谷底は30m以上、場所によってはさらに深く落ち込んでいる。
- 難易度: 初級〜上級(水深の選択が可能)。
- 透明度: 非常に高く、通常20m以上。
- 特徴: 12m付近の砂地から沖へ向かうと、突如として両脇にサンゴの壁がそびえ立つ「キャニオン(谷)」が現れる。この谷間を通り抜ける浮遊感は地形派ダイバーにはたまらない経験となる。
見どころとマクロ生物の詳細
New Canyonの真骨頂は「マクロ生物の宝庫」だ。
- 砂地の擬態名人: 谷の入り口の砂地には、スターゲイザー(ミシマオコゼの仲間)や、砂に完全に同化したモヨウフグ(Blackspotted Puffer)の幼魚が潜む。
- ウミウシの楽園: 壁面のソフトコーラルには、紅海固有のChromodoris quadricolor(パジャマウミウシの近縁種)が頻繁に観察される。
- 隠れた捕食者: 現地のガイド情報によれば、オーバーハングになった岩の隙間には、ゴーストパイプフィッシュ(カミソリウオ)が流れに身を任せていることもあり、マクロ派には見逃せないポイントとなっている。
- 潮の通り道: 軽い潮の流れがあるため栄養が豊富で、サンゴの壁にはハナダイの群れが乱舞する。谷を抜ける際に左右どちらのルートを選ぶかで出会える景観がガラリと変わるのも冒険心をくすぐる。
2. Blue Coral(ブルー・コーラル):紅海では珍しい「青」の庭園
世界でも珍しい青色のサンゴ(アオサンゴの仲間ではなく、青い色彩を持つAcropora属などのハードコーラル)が群生していることから命名された。紅海のサンゴは一般的に赤や黄色が主流だが、ここでは特定の海流条件により幻想的な青い色彩を放つサンゴが育っている。タラ・ベイ(Tala Bay)のすぐ近くに位置し、かつての桟橋跡などの人工物と自然のサンゴが調和し始めた比較的新しい生態系観察ポイントである。
構造と深度
- 最大深度: 5mの浅瀬から、最大30m〜36m付近まで傾斜している
- 難易度: 初級(体験ダイビングやシュノーケリングも可能)
- 透明度: 10m〜30m
- アクセス: ビーチエントリーが主流
見どころとマクロ生物の詳細
Blue Coralの最大の特徴は、岸から沖へ向かって伸びる「3本のサンゴの列(スパー)」である。この列の間には広大なアマモ(海草)のベッドが広がっており、ここがマクロ生物たちの格好の隠れ家となっている。
- タツノオトシゴの聖域
現地ダイビングサイトでも特筆されているが、この海草帯はジャヤカーズ・シーホース(Jayakar's Seahorse)の貴重な生息地である。周囲の海草に擬態して尾を巻き付けて静止している。発見には根気が必要だが、マクロ派ダイバーにとっては外せない観察対象といえる。 - ヘコユリ(Shrimpfish)の群舞
海草の隙間をのぞき込むと、数十匹のヘコユリが逆さまの状態で列をなし、ゆらゆらと泳ぐ独特の光景に出会える。その規則正しい動きは、地形派にもフォト派にも強いインパクトを与える。 - 人工物と微小生物:桟橋の支柱は宝庫
近隣にあるジェッティ(桟橋)の支柱も見逃せない。ここには色鮮やかな海綿(スポンジ)が付着しており、それに完璧に擬態したカエルアンコウ(Frogfish)が潜んでいることが多い。特に黒やオレンジ色の個体が確認されており、一度見つければじっくりと腰を据えてマクロ撮影に没頭できる「粘り甲斐」のあるポイントとなっている。
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