First BayとKing Abdullah Reef

  ヨルダン・アカバの海底探究:First BayとKing Abdullah Reefを潜り尽くす

ヨルダンアカバのダイビングスポット First Bay(ファースト・ベイ)を泳ぐウミガメ
ヨルダン唯一の港町アカバ。その南に広がるアカバ・マリンパーク(Aqaba Marine Park)には、世界中のダイバーを魅了するポイントが点在している。今回は初心者からベテランまでを惹きつける2つの特別なポイントを深掘りする。

1. First Bay(ファースト・ベイ)

ヨルダンアカバのダイビングスポット First Bay(ファースト・ベイ)を潜るダイバー
アカバ・マリンパークの北端に位置するFirst Bayは、単なる「1番目の入り江」ではない。ここはヨルダンにおける海洋保全の歴史が始まった場所である。
歴史と背景
First Bayは1990年代にアカバ・マリンパークが設立された際、海洋保護と教育の拠点として最初に整備されたエリアの一つである。かつてこの海域は無秩序な停泊や漁業の影響を受けていたが、ダイビングスポットとして管理されることでサンゴ礁の劇的な回復を遂げた。現在ではアカバのダイビング教育の「聖地」として、地元のインストラクターや環境保護団体から深く愛されている。

構造と深度

  • 最大深度: 約30メートル
  • 難易度: ★☆☆☆☆(初心者・講習に最適)
  • 透明度: 15m〜30m(非常に安定)
  • アクセス: ビーチエントリー
水深2メートル付近からフリンジング・リーフ(裾礁)が始まり、なだらかな斜面が砂地へと続く。潮流がほとんどないため、初めてのダイビングやリフレッシュダイブに最も選ばれるポイント。

見どころ:ベテランをも唸らせる地形とマクロの魅力

  • 迷路のようなサンゴの回廊: 水深6m付近にサンゴの間を縫うように通れる自然のチャネル(水路)がある。光が差し込む時間帯は幻想的で、地形派ダイバーも満足の光景である。光のカーテンが地形を彩り、広角レンズを抱えたフォト派にたまらない。
  • バナナ型のピナクル: 水深15m付近にあるバナナのような形の岩礁は格好のナビゲーション目印。ここにはタコやイカが隠れていることが多く、マクロ好きにはたまらない。冬場にはイカの産卵が見られることもある。
  • 砂地の擬態マスター: 多くのダイバーがサンゴに目を奪われる中、砂地を注視してほしい。紅海特有のスターゲイザー(ミシマオコゼ)や、砂に完璧に同化したカレイの仲間が潜んでいる。

2. King Abdullah Reef(キング・アブドゥラ・リーフ)

ヨルダンアカバのダイビングスポットKing Abdullah Reef(キング・アブドゥラ・リーフ)のウミウチワ

現ヨルダン国王アブドゥラ2世は、自身も熟練のダイバーであり、アカバの環境保護を国家戦略として推進している。このリーフは、その情熱への敬意を表して命名された。

歴史と背景

このスポットは、アカバ・マリンパークの中でも特に「手付かずの美しさ」を維持している。アブドゥラ2世国王は、この海域に廃戦車や飛行機(C-130など)を沈めて人工魚礁を作るプロジェクトを主導したが、この「King Abdullah Reef」に関しては、天然のサンゴ礁の純粋な美しさを保護することに主眼が置かれている。広大な円形サンゴ礁(アトール状)が特徴で、緩やかなスロープが深場へと続いている。砂地とサンゴのコントラストが非常に美しいポイントである。
構造と深度
  • 最大深度: 約40メートル(メインは20m前後)
  • 難易度: ★★☆☆☆(中級者、ロングダイブ向け)
  • 透明度: 20m〜40m(アカバ屈指のクリアさ)
  • アクセス: ビーチまたはボート(ビーチからは10分程度の水面移動が必要)

見どころ:ここでしか見られない「色彩のアート」

  • 巨大なゴルゴニアン・ファン(ウミウチワ): 水深21m付近にある巨大なウミウチワは、このスポットのランドマークだ。周囲には色とりどりのソフトコーラルや海綿(スポンジ)が群生しており、フラッシュを焚くとそのサイケデリックな色彩が浮き彫りになる。
  • シーグラス・ラウンジ: リーフの裾野に広がる広大な海草帯。ここはアオウミガメ(Green Turtle)やより希少なタイマイ(Hawksbill Turtle)の常連客が集う「食堂」だ。彼らは人間を恐れず、黙々と食事を続けるため、静かに見守れば至近距離での撮影も可能である。
  • 吹き流しのような魚の群れ: 水面近くから中層にかけて、ハナダイやスズメダイ、長い背びれを持つハタタテダイ(Pennantfish)がカーテンのようにゆらめく。強い潮流が少ないこの場所ならではの、穏やかで優雅な光景だ。

まとめ:歴史と色彩が息づくアカバの海

初心者から愛されるFirst Bayのサンゴの回廊と、王の名の通り気品あふれるKing Abdullah Reefの絶景。この2つのポイントは、ヨルダンが守り抜いてきた紅海の至宝である。世界的に貴重な「白化現象に負けないサンゴ」を間近に感じられるのは、アカバならではの体験だ。陸の遺跡巡りだけでなく、ぜひこの「青い聖域」に潜り、自然と歴史が調和する海底のドラマを体感してほしい。

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